後期高齢者医療特定疾病療養受療証(75歳以上)

75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療制度」。この制度のおかげで、医療費の自己負担は原則1割に抑えられています。しかし、病気によっては治療が長引き、毎月の医療費が高額になってしまう方もいるでしょう。

そんな時、ぜひ知っておいていただきたいのが、「後期高齢者医療特定疾病療養受療証(こうきこうれいしゃいりょとくていしっぺいりょうようじゅりょうしょう)」という制度です。この制度は特定の病気で長期にわたり高額な治療を受けている方の医療費負担を、さらに軽くするための大切な証明書です。

この記事では、制度の概要や利用できる人、申請方法、そして利用する上での注意点などをわかりやすく解説していきます。ご自身やご家族に関係があるかもしれないと感じたら、ぜひ最後まで読んでみてください。

後期高齢者医療特定疾病療養受療証とは?

後期高齢者医療特定疾病療養受療証とは75歳以上の方で、特定の病気で長期にわたり高額な治療を受けている方の、医療費負担をさらに軽くするための制度です。

この制度は、対象となる病気の治療でその月に医療費がいくらかかったとしても、一つの医療機関での窓口負担が10,000円まで(※)となります。

人工透析や血友病などの特定の病気では、医療費が高額になることが多く、治療期間も長くなる傾向があります。こうした状況で、医療費の心配をせずに安心して治療に専念できるように設けられたのが、この「後期高齢者医療特定疾病療養受療証」です。

長期にわたって治療が必要な方にとって、経済的な負担を大きく軽減するとても心強い制度と言えるでしょう。

(※)入院時の食事代などは別途負担が必要です。詳細は後述します。

豊島区での利用できる人

この制度を利用できるのは、以下の条件をすべて満たす方です。

対象者・後期高齢者医療制度に加入している方
・主に75歳以上の方、または65歳以上75歳未満で一定の障害があると認定された方
住まい豊島区から後期高齢者医療被保険者証の交付を受けていること
対象となる病気以下のいずれかの病気で治療を受けている方
1. 人工透析が必要な慢性腎不全
2. 先天性血液凝固因子障害の一部(血友病など)
3. 血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症(いわゆる血液製剤によるHIV感染症)

ポイント

まず、ご自身が後期高齢者医療制度の対象者であることが前提です。その上で、上記の3つの病気のいずれかに該当し、治療を受けている必要があります。

受療証はお住まいの市区町村(後期高齢者医療広域連合)から交付されるため、住民票のある自治体の制度を確認しましょう。

ご自身が対象になるかどうか不明な場合は、かかりつけの医師や、豊島区役所の担当窓口に相談してみましょう。

豊島区での注意事項

安心して制度を利用するために、いくつか知っておきたい注意点があります。

提示を忘れずに

受療証は、必ず医療機関の窓口で提示してください。もし提示を忘れてしまうと、上限額が適用されず、通常の負担割合(1割または3割)で医療費を請求されることがあります。

医療機関側から「特定疾病療養受療証はお持ちですか?」と積極的に確認されることは少ないため、ご自身で忘れずに提示することが大切です。

もし提示し忘れて多く支払ってしまったら?

万が一、受療証を提示し忘れて上限額を超えて支払ってしまった場合でも、後から申請すれば払い戻しを受けられる制度(後日精算)があります。ただし、手続きが必要になるため、できるだけ受診の都度、忘れずに提示するようにしましょう。

上限額は「医療機関ごと」に適用

自己負担の上限額(原則10,000円)は、1か月あたり1つの医療機関ごと(入院・外来別、医科・歯科別)に適用されます。

例えば、同じ月に、A病院(人工透析)とBクリニック(血友病の治療)の両方で特定疾病の治療を受けた場合、A病院で上限10,000円まで、Bクリニックでも上限10,000円までの自己負担が発生する可能性があります。また、同じ病院でも入院と外来は別々に計算されます。

食事代などは別途

入院した場合、治療費の自己負担は上限額までとなりますが、入院時の食事代(食事療養費)や、療養病床に入院した際の居住費(生活療養費)は、この上限額とは別に自己負担となります。

豊島区での申請方法

後期高齢者医療特定疾病療養受療証は事前に申請・交付が必要です。

ご自身(または代理の方)が窓口で申請し、交付を受ける必要があります。

申請に必要なもの

窓口で申請する場合には、以下の書類が必要になります。

1. 本人確認書類
 マイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書(H24年4月1日以降)、パスポートなど

2. 特定疾病にかかっていることを証する書類(下記いずれかひとつ)

1. 医師または歯科医師の意見書

2. 以前加入していた健康保険(国民健康保険等)の特定疾病証

3. 慢性腎不全に係る更生医療券

4. マル都医療券(人工透析を必要とする慢性腎不全)

代理人が申請する場合

ご本人が窓口に行けない場合は、代理の方が申請することも可能です。「代理人の本人確認書類」と「委任状」が必要になりますので、申請の際は準備しておきましょう。

郵送で申請する場合

豊島区では郵送での申請方法も存在します。申請書などの必要書類の確認は豊島区の「高齢者医療年金課後期高齢者医療グループ」にお問い合わせください。

電話番号
資格に関すること:03-3981-1332
保険料に関すること:03-3981-1937

豊島区での申請窓口

申請は、高齢者医療年金課の窓口で行いましょう。

具体的な窓口の場所や受付時間は、豊島区役所のホームページでの確認や電話で問い合わせてみましょう。

・高齢者医療年金課管理グループ電話番号:03-4566-2391

まとめ

「後期高齢者医療特定疾病療養受療証」は、人工透析が必要な慢性腎不全、血友病、血液製剤によるHIV感染症といった特定の病気で長期療養されている方の、医療費負担を大きく軽減するための大切な制度です。

この制度を利用するには、ご自身で申請して受療証の交付を受け、医療機関の窓口で提示する必要があります。対象となる可能性のある方は、豊島区の担当窓口にご相談ください。

医療費の心配を少しでも減らし、安心して治療に専念できるよう、こうした制度を上手に活用していきましょう。この記事が、その一助となれば幸いです。

参考文献

1)豊島区 後期高齢者医療特定疾病療養受領証
https://www.city.toshima.lg.jp/114/tetsuzuki/kouki/2410100843.html

2)厚生労働省 後期高齢者医療制度における一部負担金の負担割合の見直しに係る費用請求に関する診療報酬明細書等の記載について
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/hokkaido/info/tsuchi/03_kisaiyoryo/000253841.pdf