日常生活で困難を感じている方にとって、適切な支援や道具の利用は、生活の質を大きく向上させるものです。「日常生活用具の給付制度」は、障害や難病を持つ方が自宅で安心して暮らせるように、必要な用具を支給または助成する制度です。
この制度では、障害や難病などにより生活に支援が必要な方に対し、日常で使う特別な道具(用具)を給付、またはその費用の一部を補助するしくみです。
豊島区における日常生活用具の種類は、以下の5つの分類に分かれています。
それぞれの分類から、代表的な用具を紹介しましょう。
● 介護訓練支援用具:特殊寝台
電動で背もたれや足の位置を動かせるベッドです。寝たきりや筋力の弱い方が、姿勢を調整したり、介助者が体位を変えやすくするために使われます。
● 自立生活支援用具:入浴補助用具
浴槽に入る際の移動や、座ったままシャワーを浴びるための椅子、浴槽内の滑り止めマットなどが含まれます。入浴時の安全性を高めることができます。
● 自立生活支援用具:温水温風便器
トイレでの排泄後に温水で洗い、乾燥する機能を持つ便座です。上肢に障害がある方や知的障害の方の自立をサポートするものとして給付対象になります。
● 在宅療養等支援用具:電気式たん吸引器
呼吸が弱く、たんを自力で出せない方が使用します。介護者が使うことで呼吸器の状態を安定させることができます。
● 在宅療養等支援用具:ネブライザー(吸入器)
喘息や肺疾患がある方の呼吸を助けるため、薬剤を霧状にして吸入できる装置です。自己管理の一助として重要です。
● 情報・意思疎通支援用具:携帯用会話補助装置
音声や言語に障害がある方が、自分の意思を伝えるための機器です。入力した言葉を音声に変換したり、文字を表示したりできます。
● 排泄管理支援用具:ストマ装具
人工肛門や人工膀胱を持つ方の排泄をサポートするための装具です。紙おむつや収尿器もこの分類に含まれ、日常の清潔と安心につながります。
この制度は、以下の条件に当てはまる方が対象です(豊島区内に住所があることが前提です)。
● 身体障害者のある方(身体障害者手帳1・2級)
1~2級の障害を持つ方で、たとえば足が不自由、視覚や聴覚に障害がある方、または内部障害(心臓・腎臓など)のある方などが該当します。
● 知的障害のある方(愛の手帳1・2度)
知的障害のある方が転倒しやすい場合、「頭部保護帽」が給付対象となるほか、入浴や排泄に関する用具も利用可能です。
● 精神障害のある方(精神障害者保健福祉手帳1・2級)
精神障害者については、「頭部保護帽」のみが給付対象です。頻繁に転倒する恐れがある場合に、頭部を保護する目的で支給されます。
● 難病患者の方
筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病など、指定難病により日常生活に支援が必要と認められる方も対象になります。用具の種類に応じて、医師の意見書が求められることがあります。
下記の点には注意が必要です。
申請や相談は、豊島区役所の障害福祉課が窓口です。
【豊島区 障害福祉課(障害者支援グループ)】
所在地:豊島区南池袋2-45-1 本庁舎4階
電話:03-3981-1457
受付時間:平日8:30~17:15(土日祝・年末年始は除く)
まずは電話で相談することをおすすめします。対象となる用具や手続きの流れを案内してもらえます。
【身体障害者支援第一・第二グループ】
電話:03-3981-2141 03-4556-2442
知的障害者支援グループ
電話:03-3981-1853
精神障害者福祉グループ
電話:03-3981-1998
児童・障害児支援グループ
電話:03-4566-2451
豊島区のホームページには詳細な申請手順の記載がないため、ここでは他自治体でも共通する標準的な流れをご紹介します。
申請時は、必ず区の窓口で確認してください。
必要な用具や対象となるかを障害福祉課に相談します。購入前に相談をしてください。
提出書類をもとに区が審査し、給付が決定され、給付決定通知書が送られます。
現物支給または償還払い(購入後に費用の一部を支給)となります。世帯収入によっては自己負担がある場合もあります。
日常生活用具の給付制度は、「自宅で安心して生活したい」「家族の介護負担を減らしたい」という思いに応える大切な制度です。
自分自身が対象でなくても、家族や周囲に必要な人がいれば、ぜひこの制度の存在を教えてあげてください。必要な人に届くことで、大きな助けになります。
※詳細は豊島区の公式ホームページをご確認ください。