在宅難病患者向け事業とは?

1. 制度の概要

在宅で生活する難病患者さんを支援するため、日本には医療費助成や介護サービスなどの公的な制度が整っています。これにより、病院への頻繁な通院が困難な患者さんや、その家族の負担を軽減することが可能になります。主な制度として、以下のようなものがあります。

なお、下記のものは東京都の制度であるため、他都道府県では異なる場合もあります。

難病患者療養支援

● 難病相談・支援センターなどによる支援(電話・対面)

日常生活・療養生活における悩みや疑問について、難病相談支援員が相談に乗ってくれます。また、公的手続きなどに関する情報提供も行っています。

● 保健所・保健センターなどによる支援

在宅療養中の方が安心して療養生活を遅れるよう、保健所の保健師などが、訪問や電話などで療養上の相談にのってくれます。

在宅難病患者訪問診療

寝たきりなどにより、通院の困難な難病患者に対し、地域における適切な医療を確保することを目的として実施しています。

在宅難病患者一時入院

在宅難病患者さんの在宅生活を支えているご家族などの介護者が病気や事故などの理由によって一時的に介護ができなくなった場合、患者さんが短期間入院できるように、病院にベッドを確保しています。

難病患者在宅レスパイト事業

在宅で人工呼吸器を使用している難病患者さんの在宅生活を支え得ているご家族などが病気治療や休息などの理由により、一時的に介護などができなくなった場合で、病状などの理由で移送が困難な場合など一次入院が難しい時に、患者さんの自宅に看護人を派遣する事業です。

在宅難病患者医療機器貸与・整備

在宅難病患者さんが、在宅で使用する医療機器を貸与・整備し、訪問看護を実施することで、患者さん、家族の経済的負担在宅療養環境の整備を図ることを目的としています。

吸入器や吸引器を貸与しています。

在宅人工呼吸器使用難病患者訪問看護事業

在宅で人工呼吸器を使用する難病患者さんに対して、在宅での療養環境の整備、療養実態の把握、訪問看護の方法などに関する研究などを行うことを目的として、医療保険で定められた回数を超えて行う訪問看護に対し、委託事業を実施しています。

在宅人工呼吸器使用難病患者非常用電源設備整備事業

災害などによる停電が生命の危機に直結する在宅人工呼吸器使用者の安全を確保するためには、人工呼吸器に電源を供給するための予備電源を整備する必要があります。この事業は、その予備電源の物品の購入に対する経費について補助を行うものです。

自家発電装置、無停電電源装置、蓄電池が補助対象になっています。


2. 利用できる対象者

在宅難病患者向けの事業や制度を利用できるのは、主に以下の条件を満たす方です。

指定難病に認定された方

● 指定難病医療費助成制度を受けるためには、診断基準を満たし、厚生労働省の指定難病に認定される必要があります。

特定疾病で介護が必要な方

● 40~64歳で介護保険を利用する場合は特定疾病で、要介護や要支援の区分を受ける必要があります。

難病により日常生活や社会生活に支障がある方

● 障害福祉サービスを利用する場合、難病で生活に支障がある必要があります。

一定の収入条件を満たす方

● 医療費助成制度は所得に応じた自己負担額が設定されているため、申請時には世帯収入の確認が行われます。

主治医の意見書が必要な場合がある

● 一部の制度では、主治医の診断書や意見書が必要になることがあります。

小児慢性特定疾病に該当する子ども

● 18歳未満で特定の病気を持つ子どもが対象となります。


3. 制度利用の注意事項

制度を利用する際には、いくつかの注意点があります。

申請手続きが必要

すべての支援制度は申請しなければ利用できません。自治体の窓口や医療機関で必要な書類をそろえ、手続きを行いましょう。申請には時間がかかることがあるため、余裕をもって進めることが重要です。

更新手続きが必要な場合がある

制度の中には定期的に更新が必要なものも多いです。更新を忘れないように気をつけましょう。

所得制限がある場合がある

所得によって負担額が変わる可能性もあるため、事前に確認しておくことが大切です。特に家族構成によっても影響を受けるため、詳細は自治体の窓口で確認しましょう。

受けられるサービスが地域によって異なる

自治体ごとに提供されているサービスの内容が異なる場合があります。お住まいの自治体に問い合わせて、利用できる支援を確認しましょう。

介護サービスとの併用について

医療費助成制度と介護サービスを併用することは可能ですが、それぞれの制度によって制限がある場合があります。

利用時間や回数の制限

サービスの種類によりますが、年間での利用回数、月の利用時間などに制限があるサービスもあるので注意が必要です。


4. 制度利用の問い合わせ先

制度の詳細や申し込みについては、以下の窓口に問い合わせることができます。

自治体の福祉課・保健所

各自治体の福祉課や保健所が、医療費助成や介護サービスの相談窓口となっています。利用するサービスにより、問い合わせ先が異なるので気をつけましょう。

難病相談支援センター

難病に関するさまざまな相談に対応しています。医療費のことや、利用できるサービスについても教えてもらうことができます。

難病情報センター

指定難病や医療費助成制度に関する最新情報を提供しています。

医療機関・かかりつけ医

主治医に相談すると、適切な支援制度の案内を受けられることがあります。

各種支援団体

難病患者の支援団体やNPO法人が、患者や家族向けの情報提供やサポートを行っています。


まとめ

在宅難病患者向け事業は、患者さんとそのご家族の負担を軽減し、安心して生活を送るために欠かせない支援です。適切な制度を活用することで、医療費の負担軽減や介護支援を受けることができます。まずは自治体の窓口や医療機関に相談し、自分に合った制度を活用していきましょう。


【参考文献】

在宅難病患者向け事業|保健医療局

在宅難病患者家族支援のためのハンドブックについて