子どもの医療費助成制度は、子育て世帯の医療費負担を軽くし、子どもたちが健康に過ごせることを目的としています。子どもは病気やケガをしやすいものであり、医療費の負担は子育て世帯にとって大きな経済的負担となります。また年齢によっては症状の聞き取りが難しく保護者が判断に迷う例や、些細な症状からでも重大な病気・ケガの発見につながりやすいといった例が多くあります。
この医療費助成制度は、子どもを病院に連れていく際のハードルのひとつである金銭的な不安を軽減する役割を持っています。経済的問題から子どもが適切な医療を受けられない状況を防ぎ、異状の早期発見・早期治療を促して子どもたちの健康維持・増進に貢献することが、この制度の一番の目的なのです。
このような制度は1960年代に始まったとされ、1990年代ごろまでは一部の自治体で、主に乳幼児を対象に、所得制限あり、という現在よりも限られた形式で実施されているものが多数でした。しかし少子高齢化が進み子育て支援の重要性が高まる中で、とくに2000年代からは全国的な広がりや制度の大幅な発展がはじまり、現在においてはすべての都道府県および市区町村が子どもに関わる医療費の援助を実施しています(※1)。
ただし子どもの医療費助成は国が定めた統一的な制度ではなく、各自治体がそれぞれの条例に基づいて実施しています。そのため対象年齢、助成内容などは自治体によって異なりますので気を付けてください。
助成制度はお住まいの地域の自治体によって異なるので、利用対象者の条件も一律ではありません。
ですが、多くの場合では以下のように条件が決められていることが一般的です。
● 居住地
助成を受けようとしている子どもが、住んでいる自治体に住民登録がされていることが原則です。その自治体で定められた制度内容が適用されます。
● 年齢
出生(0歳)から中学校卒業まで、もしくは高校卒業までを対象とする自治体が多数です。自治体によって上限年齢が異なることや、制度見直しによる年齢引き上げが発生することもありますのでご確認ください。
● 健康保険
原則として、子どもが公的医療保険(保護者の職場の健康保険、国民健康保険など)に加入していることが条件となります。これは公的医療保険が医療費の7〜8割を負担し、残りの自己負担額を自治体が補助・軽減するという仕組みのためです。
● 助成の対象とならない場合
自治体にもよりますが、生活保護受給者、児童福祉施設入所者、その他の医療費助成制度の受給者は対象とならない場合があります。これは既に行われている補助・助成との重複を避けるためです。
また基本的に、保険診療外の医療費(美容整形、歯並びを美しくするための矯正など)は助成対象外となります。
これらの助成対象や条件は自治体によって異なります。また制度見直しで変更となる場合もありますのでお住まいの地域の情報を確認してください。
制度利用については全国で統一されていないため、とくに事前の確認が重要です。具体的な注意点を紹介します。
● 自治体ごとの制度
助成制度の対象となるためには、自治体への申請が必要です。申請手続きの方法や必要書類も自治体によって異なるため、子どもが生まれる前や引っ越しの前など事前に確認しておきましょう。また対象年齢、所得制限、助成範囲の内容も自治体ごとに大きく異なります。対象の自治体の情報を必ず確認しましょう。
● 助成対象となる医療費
基本的には、公的医療保険が適用される医療費が助成対象となります。保険適用外である健康診断、予防接種、美容整形、入院時の食事代、差額ベッド代、薬の容器代、診断書の発行料などは助成対象外となる場合が一般的です。ただし別の助成制度によって補助が受けられる可能性もありますので、心配があれば病院や自治体の窓口に相談してみましょう。
● 受診時/支払い時の注意点
助成の方式は2種類あり、ひとつは医療機関の窓口で助成額を差し引いた額を払う(もしくは負担ゼロになる)「現物支給」、もうひとつは一度医療費を払ったあと自治体から払い戻しを受ける「償還払い」です。
いずれの場合も医療機関を受診する際は、必ず受給資格証を提示しましょう。提示できない場合には自己負担額の全額を支払ったり、払い戻しが受けられない場合があります(返還を受けるには手続きが必要となります)。
償還払いの場合、医療費の領収書が必要となりますので、大切に保管しておきましょう。
現物支給の場合も、県外など自治体外の医療機関を受診した場合は償還払いとなる場合があります。その際の申請方法などはお住まいの自治体にご確認ください。
子どもの医療費助成制度の問い合わせ先はお住まいの地域によって異なります。一般的には市区町村の役所にある窓口が担当しています。自治体の公式サイトに載っていることが多いのですが、分からない場合は役所の代表電話で問い合わせるのが確実です。
※1 令和4年度・5年度「こどもに係る医療費の援助についての調査」|こども家庭庁