医療費控除は、指定難病の方に限らず、所得税を納めている方なら誰でも利用できる制度です。1年間に支払った医療費が一定額を超えたときに利用すると、所得税の払い戻し(還付:かんぷ)を受けられます。高額療養費制度や指定難病の医療費助成制度とも併用可能です。
当記事では医療費控除の概要や、利用するときの注意事項、問い合わせ先について紹介します。
医療費控除は「所得税」に関する制度のひとつです。所得税とは、稼いだ金額から経費や最低限の生活費などを引いた「所得」に応じて発生する税金です。
医療費控除を利用すると、税金の計算に使う所得から医療費を差し引くことができます。すると所得税の計算結果も少なくなるため、差額が返金されるのです。
医療費控除における「医療費」には、通院にかかった交通費や、入院時の部屋代・食事代なども含まれます。また、家族の医療費は合算可能です。生活費や学費といった生計を共有している家族・親族であれば、同居・別居は問いません。
医療費控除を利用するには確定申告が必要です。勤務先で年末調整を受けた方も、ご自身で確定申告をしなければいけません。
年末調整を受けた方が医療費控除だけを申告する場合は、翌年の1月1日から5年間のうちに申告すれば大丈夫です。このケースは、正確には「還付申告」といって、払いすぎた税金を返してもらう手続きになります。
一般的な確定申告の期間は、翌年の2月16日から3月15日までです。曜日の並びなどで異なる年もあるため、よく確認して、遅れないように申告しましょう。
医療費控除を利用できる方は、「1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費」が「一定額を超えている」方です。
「1年間に支払った医療費」とは、生計を同じくしている家族・親族の医療費を全て合計した金額です。病院などで実際に支払った金額から、助成金や保険金として受け取った金額を差し引いて計算します。
「一定額」とは、基本的には10万円です。ただし所得が少ない方は、1年間に支払った医療費が10万円に届かなくても医療費控除の対象となります。具体的には「その年の総所得金額等が200万円まで」の方は、医療費が「総所得金額等の5%の金額」を超えていれば医療費控除が可能です。
ここでは医療費控除における医療費の範囲と、領収書の保管期間についてお伝えします。
以下のように、病気やけがの治療に関するさまざまな費用が医療費控除の対象となります。
医師・歯科医師による診療・治療費
治療・療養に必要な医薬品の購入費
通院費
入院時の部屋代(差額ベッド代は除く)、食事代
医療用器具の購入・レンタル費用
義手、義足、義歯などの購入費用
医薬品はドラッグストアで購入したものも含みます。自費診療の医療費も、一般的な金額であれば対象です。
通院費は、通常は電車やバスといった公共交通機関のみが対象ですが、身体的な理由で使えない場合や緊急時はタクシー代も対象となります。子供の受診に親が付き添う場合などは、付き添い者の交通費も対象です。
以下のような予防・美容目的の費用や、公共交通機関などを使わず自力で通院した費用は、医療費控除の対象となりません。
健康診断や人間ドックの費用(病気が見つかって治療につながった場合は対象)
美容整形の費用
ビタミン剤や栄養ドリンクなど、病気の治療に直接関係ないもの
自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場代
ほかに、入院している患者さんを世話するための交通費も、医療費控除の対象外となります。あくまで家族の移動であり、患者さん本人が通院するわけではないためです。
医療費控除を受けた医療費の領収書は、ご自身で5年間保管しなければなりません。確定申告で提出する必要はありませんが、うっかり捨ててしまうと、万が一問い合わせが来たときに証明できなくなってしまいます。普段から医療費の領収書を集めておく習慣をつけるとよいでしょう。
なお、通院で利用した公共交通機関の料金など、そもそも領収書がない医療費については、保管もしなくて大丈夫です。いつ何に利用したのか思い出せるように、メモを残しておきましょう。
医療費控除は所得税に関する手続きのため、問い合わせ先は国税庁または税務署です。以下のウェブサイトに、医療費控除に関する情報がまとめられています。
お住まいの住所地を管轄する税務署では、確定申告の手続きや、医療費控除の計算方法について相談できます。
2月から3月にかけての確定申告期間は混雑するため、時期をずらして相談に行くのがおすすめです。
また、各都道府県および指定都市では、難病の患者さんやご家族のための相談窓口を設けています。こちらの窓口では、医療費控除を含めた療養生活全般について相談可能です。
都道府県・指定都市難病相談支援センター一覧|難病情報センター
医療費控除に関してご不明な点があれば、上記の窓口にお気軽にお問い合わせください。
医療費控除について紹介しました。指定難病の治療には、継続的な通院や高額な医薬品が必要となる場合も多く、経済的な負担が大きくなりがちです。「今年は医療費をたくさん払ったな」と思ったら、医療費控除を検討してみてください。税金が返ってくるかもしれません。
医療費控除は、医療費助成制度や高額療養費制度とも併用可能な制度です。ぜひ負担軽減に役立ててください。
【参考文献】